教員からの転職には、他の公務員とはっきり違う特徴が2つあります。ひとつは教育業界の中へ移る人が多いこと。もうひとつは年収が下がるケースが多いことです。姉妹サイトの公務員転職データベースに集まっている教員の事例23件を見ながら、どんな仕事につながるのか、何に注意すべきかを整理します。
教員はどんな仕事へ転職していますか?
姉妹サイト公務員転職データベースの教員の事例23件では、転職先の職種は次の順に多くなっています。
| 順位 | 転職後の職種 | 件数 |
|---|---|---|
| 1 | 経営・事業企画 | 5件 |
| 2 | カスタマーサクセス | 4件 |
| 3 | キャリアアドバイザー | 3件 |
| 4 | 大学職員 | 3件 |
| 5 | 人事 | 2件 |
同じデータで、平均転職年齢は33.2歳、平均の教員歴は10.6年でした。市役所職員(平均30.9歳・8.6年)より少し後ろにずれています。
そして、この一覧でもっとも目立つのは業界です。一覧に表示されている20件のうち15件が「教育」業界でした。教材会社、学習支援サービス、大学、教育系スタートアップなどです。残りは人材、IT、広告・マーケティング、小売・サービスでした。
理由ははっきりしています。教育業界では「学校現場を知っていること」がそのまま実績になるからです。学校向けサービスを売る側にとって、現場の先生が何につまずくかを予測できる人材は貴重です。逆に、まったく無関係な業界では教員経験の説明に手間がかかります。
教員から転職すると年収はどうなりますか?
下がるほうが多い、というのが実際の分布です。ここは正直にお伝えします。一覧ページに表示されている20件の年収変化を数えると、次のようになりました。
| 年収の変化 | 件数 |
|---|---|
| 下がった | 14件 |
| 上がった | 5件 |
| 変わらない | 1件 |
市役所からの転職では上がった人のほうが多かったのに対し、教員では逆になります。特に下げ幅が大きいのは40代です。720万円から630万円、720万円から610万円、730万円から670万円といった変化が並びます。
理由は、教員の給与水準そのものにあります。実際、複数の事例で本人が同じことを言っています。
「教員の給与は思ったより恵まれていました」(29歳・マーケティングへ転職)
「教員の給与は決して低くないと外に出てから分かります」(33歳・キャリアアドバイザーへ転職)
「年収はほぼ横ばいです。教員の給与水準は決して低くありませんでした」(30歳・大学職員へ転職)
別々の3人が、転職して初めて同じことに気づいています。教員の転職は「収入を上げるための転職」になりにくいと考えておいたほうが、判断を誤りません。上がっている5件は、いずれも20代から30代前半で、もともとの年収が480万円〜530万円の層でした。
教員の経験は、民間のどのスキルにあたりますか?
教員は職務内容が特殊に見えるぶん、言い換えの効果がもっとも大きい職種です。「授業をしていました」では伝わりませんが、業務を分解すると民間に対応する仕事があります。
| 教員での業務 | 民間での呼び方 | つながりやすい職種 |
|---|---|---|
| 授業の設計・教材作成 | コンテンツ設計、研修プログラムの設計 | 教育コンテンツ/研修企画/カスタマーサクセス |
| 保護者対応 | 顧客折衝、クレーム対応、関係構築 | カスタマーサクセス/カスタマーサポート/営業 |
| 学級運営 | チームの進行管理、目標設定と振り返り | マネージャー/プロジェクト管理 |
| 進路指導 | キャリア面談、意思決定の支援 | キャリアアドバイザー/人材 |
| 特別支援教育 | 個別対応の設計、関係機関との連携 | 大学職員(学生支援)/福祉・医療 |
| 校務分掌・行事の運営 | 業務設計、イベント運営、進行管理 | 総務/事務・バックオフィス/イベント企画 |
| 学習端末・ICTの担当 | ツールの導入支援と定着支援 | カスタマーサクセス/社内SE |
| 初任者研修・後輩育成 | 研修設計、オンボーディング | 人事/人材開発 |
ポイントは、「教える」だけを売りにしないことです。教える力は多くの人が書きます。差がつくのは、保護者対応・校務分掌・ICT担当のように、教員以外の人が持っていない周辺業務のほうです。
教員からの実際の転職事例
27歳・小学校教員からIT企業の人事へ(470万円→410万円)
担任のほか、初任者研修の補助と新任教員のサポートを担当。新任教員の支援が想像以上に面白く、人を育てることに関心が移ったことが転職のきっかけです。評価されたのは「人に教える技術と、相手のつまずきを見つける力」で、研修設計に活きると判断されました。転職後は「前例がなく自分で決める場面が多い」ことに戸惑ったと語られています。
読み取れること:担任経験そのものより、後輩を育てた経験のほうが人事につながっています。校内での役割を思い出すと、書ける材料が増えます。(事例の詳細)
29歳・小学校教員から教育系企業のマーケティングへ(510万円→530万円)
学年通信や保護者向け資料の作成を任されていた経験が起点。「保護者に伝わる文章を工夫するのが好きで、そこを本業にできないかと考えるようになりました」。転職先は保護者向けサービスのマーケティングで、現場感覚が評価されました。
読み取れること:学年通信は立派な制作物の実績です。「誰に向けて、何を伝えるために、どう工夫したか」を説明できれば職務経歴になります。(事例の詳細)
33歳・中学校教員から人材会社のキャリアアドバイザーへ(540万円→540万円)
社会科教諭として、進路指導主事も務め3年生の進路相談を統括。「部活動の顧問で土日がほぼ埋まっていました。10年目に体調を崩し、人と向き合う仕事は続けたまま働き方だけ変えることにしました」。本人は転職をこう整理しています。「進路の相談に乗ってきた経験を、そのまま仕事にできると考えました。相手が生徒から求職者に変わるだけです」。
読み取れること:進路指導はキャリア面談そのものです。仕事の中身を変えずに働き方だけ変える、という選び方には再現性があります。(事例の詳細)
30歳・小学校教員から私立大学の学生支援へ(530万円→540万円)
担任と兼務で特別支援教育コーディネーターを担当。「支援が必要な子どもへの対応にやりがいを感じる一方、担任との兼務では時間が足りませんでした」。転職先は大学の障害学生支援の担当で、「特別支援教育の知識と、関係機関と連携してきた経験」が評価されました。
読み取れること:兼務でやっていた役割が転職の軸になっています。担任以外に何を担当していたかが、進む先を決めることがあります。(事例の詳細)
44歳・中学校教員から教育系企業のカスタマーサクセスへ(720万円→630万円)
数学を担当しながら、校内の学習端末とデジタル教材の運用も兼務。「端末の運用担当として先生方の質問を受けるうち、使えるようになるまで支える役割に面白さを感じました」。転職先では「学校向け教材の導入支援なら、現場の先生が何につまずくかを予測できる強み」が活きています。年収は90万円下がりました。本人の総括はこうです。「収入は大きく下がりました。ただ現場を支える手応えはあり、40代で動いたこと自体は後悔していません」。
読み取れること:40代でも転職はできています。ただし年収は下がる前提で判断している点が重要です。何を得て何を手放すのかが明確だと、後悔につながりにくくなります。(事例の詳細)
教員からの事例は全部で23件あります。年齢や転職後の職種から絞り込めるので、自分に近い経歴を探すなら公務員転職データベースの教員の事例一覧が使えます。
注意点|教員から転職する前に知っておくこと
年収は下がる前提で考える
前述のとおり、事例では下がったケースのほうが多くなっています。特に40代は下げ幅が大きくなります。「転職して年収を上げる」という目的だけで動くと、期待と結果がずれます。働き方、仕事の内容、時間の使い方など、収入以外に何を得たいのかを先に決めてください。
教育業界の外へ出るときは説明の手間が増える
教育業界の中なら現場経験がそのまま実績になりますが、外へ出ると「教員が何をしていたのか」から説明が必要になります。無関係な業界を目指すこと自体は可能ですが、言い換えの準備量が段違いに増えることは見込んでおいてください。
年度の途中で辞めにくい
担任を持っていると、年度途中の退職は現実的に難しくなります。事例の転職時期も4月が目立ちます。逆算すると、活動開始は前年の秋から冬になります。事例の活動期間は4〜7ヶ月でした。
「先生」と呼ばれない環境への切り替え
学校では立場が明確ですが、民間では新入社員として扱われます。年齢が上がるほどこの落差は大きくなります。事例にあった「前例がなく自分で決める場面が多い」という戸惑いも、枠組みが決まっている学校との違いです。
よくある質問
教員から民間企業に転職できますか?
できます。姉妹サイトには教員からの事例が23件あり、事業企画、カスタマーサクセス、キャリアアドバイザー、大学職員、人事などへ移っています。ただし教育業界内が中心で、業界を選ぶかどうかで難易度が変わります。
教員の経験を活かせる仕事は何ですか?
相手の理解度に合わせて説明する仕事、相談に乗る仕事、人を育てる仕事です。具体的にはカスタマーサクセス、キャリアアドバイザー、研修企画、教育コンテンツの制作などが該当します。学校向けサービスを扱う企業なら、現場経験が直接の強みになります。
30代・40代でも転職できますか?
できます。事例の平均転職年齢は33.2歳で、44歳の事例もあります。ただし年齢が上がるほど年収の下げ幅は大きくなる傾向があります。40代の事例では90万円下がったケースもありました。
担任しか経験がなくてもアピールできますか?
できます。担任は、学級運営、保護者対応、教材作成、行事の運営を同時に回す仕事です。「担任」とまとめず、業務ごとに分けて書くと、対応する民間職種が見えてきます。校務分掌で担当していた役割も忘れずに書き出してください。
教員免許は転職で有利になりますか?
教育業界では有利に働きます。教材開発や学校向けサービスでは、免許があること自体が「現場を分かっている証明」として扱われます。一方、教育以外の業界では要件になることがほとんどなく、免許より業務経験の説明のほうが効きます。
小学校・中学校・高校で、転職のしやすさは違いますか?
校種別に分けて語れるほどの件数が事例に無いため、断言はできません。ただ23件の記録から読み取れるのは、「小学校教諭」「中学校教師」という肩書きよりも、担当してきた中身のほうが評価に効いているということです。学級を何人・何年見てきたか、教務や進路指導、部活動でどの役割を担ったか。ここを数字と役割で書けるかどうかで結果が変わっています。高校の場合は、担当教科の専門性がそのまま業界の選択肢につながることもあります。
まとめ
教員からの転職は、教育業界の中へ移る人が多く、年収は下がるケースのほうが多いのが実際です。進め方は3つです。
- 「担任」とまとめず、保護者対応・校務分掌・ICT担当など業務ごとに分ける
- 教育業界の中を狙うのか外へ出るのかを先に決める
- 収入以外に何を得たいのかを言語化しておく
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