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国家公務員の転職先は?年代で結果が変わる理由と実際の事例

国家公務員から民間へ転職した人が、実際にどこへ移っているのか。姉妹サイトの公務員転職データベースに集まっている国家公務員の事例33件では、転職後の職種は総務、コンサルタント、事務・バックオフィス、ITコンサルタントが上位でした。そしてこのデータには、はっきりした分かれ目が1つあります。年収が上がるか下がるかは、動いた年齢でほぼ決まっています。この記事では、その境目を実データと事例で示します。

目次

国家公務員はどこへ転職していますか?

行き先は分散しています。姉妹サイト公務員転職データベースの国家公務員の事例33件では、転職後の職種は次の順です。

順位転職後の職種件数
1総務4件
1コンサルタント4件
1事務・バックオフィス4件
4ITコンサルタント3件
4広報3件
6エンジニア/経理/渉外担当/経営・事業企画/法人営業各2件

業界で見るとIT・SaaSが6件で最多、次いで運輸・物流5件、建設・インフラ4件と続きます。運輸・物流と建設・インフラが上位に来るのは国家公務員の特徴です。許認可や事業監督を担当していた省庁の職員が、その業界の事業者側へ移っているためです。

同じデータで転職時の平均年齢は35.2歳、平均の公務員歴は12.5年。33件のうち24件が未経験職種への転職でした。

国家公務員が転職すると年収は上がりますか?

全体では上がった18件、下がった13件、変わらない2件です。ほぼ半々に見えますが、年代で分けると結果が反転します。

転職時の年代件数上/下/同年収の平均変化転職前の平均年収
20代11件7/2/2+61万円467万円
30代10件8/2/0+92万円569万円
40代以上12件3/9/0±0万円725万円

20代は11件中7件、30代は10件中8件が年収を上げているのに対し、40代以上は12件中9件が下がっています。転職満足度の平均も、30代が4.30と最も高く、40代以上は3.33で最も低くなっていました。

理由は表の右端に出ています。40代以上は転職前の平均年収が725万円あります。本省の手当と超過勤務手当が積み上がった水準で、これを民間で同額から始めるのは簡単ではありません。上がるか下がるかは、能力の差というよりいまいくらもらっているかで決まっている面が大きいということです。

ただし40代以上でも3件は上がっています。何が違ったのかは、後述の41歳の事例が分かりやすいので、そこで触れます。

霞が関の経験は、民間のどのスキルにあたりますか?

事例で繰り返し評価されているのは、次の4つでした。いずれも「民間で同じことをやってきた人がほとんどいない」という共通点があります。

国家公務員の経験民間での呼ばれ方需要のある場所
法令・制度をゼロから設計した制度設計、規制対応コンサル、規制産業の企画部門
関係省庁・業界団体を調整しきったステークホルダーマネジメントコンサル、公共部門を持つ企業
許認可の審査基準を内側から知っている許認可対応、コンプライアンスその業界の事業者側(運輸、建設、金融など)
省庁の予算要求・調達サイクルを知っている公共営業、官公庁向け提案官公庁を顧客に持つIT企業・コンサル

特に4つ目は見落とされがちです。省庁がいつ予算を要求し、いつ調達を出すかを知っているだけで、提案の時期を外さない人材になります。事例でも「提案の時期を外さない点が評価された」という記録がありました。

逆に、そのまま出しても伝わりにくいのが「国会対応」です。作業の過酷さは伝わっても、民間の職務に翻訳されません。何をどの期限までに、誰と合意して仕上げたのかという形に置き換える必要があります。この翻訳の考え方は公務員から転職するときの強みは?民間で評価される7つの経験で整理しています。

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国家公務員からの実際の転職事例

ここからは実際の事例です。いずれも姉妹サイトに掲載されている記録で、要点と、そこから読み取れることを添えています。

27歳・行政職からITコンサルタントへ(480万円→650万円)

省庁で行政手続のオンライン化を担当し、各部局との調整と要件の取りまとめを担当。「省庁全体を動かすには年数がかかり、5年目でもまだ調整役でした。20代のうちに、意思決定に近い場所で経験を積みたい」。オンライン化した手続数と削減効果を実績として書き、3ヶ月で22社に応募、7社の書類が通り3社から内定。評価されたのは省庁の予算要求と調達のサイクルを知っていることでした。

読み取れること:転職後についてこう語られています。「長時間労働は省庁と大差ありません。ただ成果が報酬に反映される点が違います」。働き方の改善を期待して動くと、業種によっては期待外れになります。(事例の詳細)

31歳・技術職(統計)からIT企業のデータエンジニアへ(550万円→720万円)

省庁の統計部門で、統計調査の設計とデータの集計・公表を8年担当。「扱うデータの規模は大きいのに、集計の手段が旧来のままでした」。業務外でSQLとPythonを習得し、公的統計を使った分析をブログで公開してから活動。4ヶ月で23社に応募、6社の書類が通過しました。「データの質を担保する感覚は、他の候補者にはないと言われました」。

読み取れること:公開データを使った分析を残しておくと、経験の証明になります。職種を変える転職では、職務経歴書に書けない部分を自分で作れるかが分かれ目になります。(事例の詳細)

33歳・厚生労働省の行政職から医療系SaaS企業の法人営業へ(570万円→740万円)

医政局で医療機関の制度設計に携わり、診療報酬改定の調整業務も担当。転職の理由は働き方でした。「国会対応と深夜の残業が常態化し、10年でこの働き方を続ける限界が見えました。制度を作る仕事に誇りはありましたが、家庭を持ってから優先順位が変わったのが正直なところです」。応募19社、書類通過5社、内定3社。未経験職種への転職です。

読み取れること:制度を作った側は、その制度の中で商売をする企業にとって最強の営業になります。診療報酬を理解している営業は、医療機関に対して説明ではなく相談ができます。(事例の詳細)

41歳・課長補佐からコンサルティングファームへ(630万円→880万円)

経済産業分野の政策立案を担当し、直近は課長補佐として法改正の実務を統括。「40歳を過ぎ、この先のポストがおおよそ見えてきました。あと20年を同じ組織の論理の中で過ごすより、外で自分の力がどこまで通じるか試したい」。ハイクラス向けのエージェント経由で12社。「40代の転職は求人数より紹介の質だと実感しました」と語られています。評価されたのは「法令をゼロから設計した経験と、関係省庁を調整しきる力」でした。

読み取れること:40代以上で年収が上がった少数派の例です。共通するのは管理職としての実務と、代わりのきかない専門性の両方があること。ただし本人はこうも語っています。「資料作成の速度が求められ、最初は若手に追い抜かれる感覚がありました。プライドを一度捨てる必要があります」。(事例の詳細)

46歳・本省の行政職から運輸企業の総務へ(740万円→670万円)

運輸分野の本省で事業者の許認可を担当し、直近は課長補佐として法令解釈の照会対応を統括。23年勤めたのち、体力の限界を理由に事業者側へ移りました。「40代後半は総合型からの紹介がほぼありません」として、運輸業界に絞れる特化型1社に任せ、6ヶ月かけて応募17社・内定1社。年収は70万円下がっています。

読み取れること:「年収が70万円下がりました。本省の手当と残業代が大きかったのだと分かります」という言葉が、40代以上の分布をそのまま説明しています。一方で「許認可の判断基準を内側から知っていること。申請を一度で通せる人材は少ないそうです」と評価もされており、専門性そのものは通用しています。(事例の詳細)

国家公務員からの事例は全部で33件あります。年齢や転職後の職種から絞り込めるので、自分に近い経歴を探すなら公務員転職データベースの国家公務員の事例一覧が使えます。

国家公務員からの転職が向いているのはどんな人ですか?

  • 特定の業界を監督・許認可してきた人。その業界の事業者側には、内側を知る人材の需要があります
  • 制度や法令を設計した経験がある人。同じことができる人材は民間にほとんどいません
  • 官公庁を顧客に持つ企業を候補に入れられる人。予算と調達のサイクルを知っていること自体が価値になります
  • 20代・30代のうちに動ける人。事例では、この年代の21件中15件が年収を上げています
  • 40代なら、管理職としての実務と専門性の両方を説明できる人

注意点|国家公務員が転職する前に知っておくこと

いまの年収が高いほど、維持のハードルは上がる

40代以上の転職前平均は725万円でした。本省の手当と超過勤務手当を含んだ水準です。民間で同額から始めるには、その額に見合う専門性を単独で示す必要があります。下がることを前提に、いくらまでなら生活が成立するかを先に決めておくほうが、選考中の判断がぶれません。

労働時間が必ず改善するとは限らない

国会対応から逃れたい、という動機は事例にも複数出てきます。ただしコンサルティングファームなど一部の業種では、労働時間そのものは大きく変わりません。「長時間労働は省庁と大差ありません」という記録もありました。働き方を変えたいのであれば、業種選びの段階で条件に入れる必要があります。

40代以上は、エージェントの選び方で結果が変わる

事例では「40代後半は総合型からの紹介がほぼない」「40代の転職は求人数より紹介の質」という記述が別々の人から出ています。年齢が上がるほど、幅広く探すより特定業界・特定領域に強い窓口へ絞るほうが機能しているという傾向が読み取れます。

よくある質問

国家公務員は地方公務員より転職に有利ですか?

有利・不利というより評価される中身が違います。国家公務員は制度設計・省庁調整・許認可といった、代わりのきかない経験が評価されやすい一方、転職前の年収が高いぶん維持のハードルも高くなります。都道府県庁の分布は県庁から転職するなら?実際の転職先と採用区分ごとの違いにまとめているので、比べてみてください。

総合職と一般職で、転職先は変わりますか?

姉妹サイトの事例は採用区分(行政・技術・情報など)で記録されており、総合職・一般職の別では分類されていません。そのため、この記事のデータからは答えられません。事例から言えるのは、区分より「何年、どの分野を担当したか」で評価が決まっているということです。

国家公務員を辞めると退職金はどうなりますか?

制度の詳細は人事院や各府省の規程を確認してください。転職の判断材料として重要なのは、提示年収の差だけを見ると実際の落ち込みを読み違えるという点です。事例では、手当・共済の掛金・退職金の積み上がり方まで含めると、想定より差が大きかったという記録が複数ありました。

40代の国家公務員でも転職できますか?

できます。事例では40代以上12件のうち3件が年収を上げていました。ただし残りの9件は下がっています。「できるか」より「いくらまでなら受け入れられるか」を先に決めるほうが、判断しやすくなります。年齢と条件の考え方は公務員から転職するなら?向いてる仕事の選び方もあわせて確認してください。

自分の経験がどの職種で通じるか分かりません

担当してきた分野が特殊であるほど、自分では需要の広さが見えにくくなります。まず候補の方向をつかむなら、下の適職診断で当たりをつけてから業界を調べるほうが早く進みます。

年代別の詳しい条件は40代の公務員が転職するには?66件のデータで見た年収の現実にまとめています。

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この記事を書いた人

京都大学卒業後、商社勤務、公務員を経て、転職エージェントとして14年間キャリア支援に従事。これまでに累計8,000名以上のキャリア相談を経験。
現在は独立し、SNSを中心に「公務員の転職・キャリア」に関する情報を発信。SNS総フォロワーは1万人を超える。

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